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Only you……番外編
第2章 会議の後は

ぺんぺんぺん――。
貴正の頬を叩く。
――起きろよ、いい加減。
わさわさ――。
貴正を大きく揺する。
――おーい、会社に遅刻するぞー……。
「……んんっ?」
ようやく目をこすりながら起きる。乱れたパジャマにそそられる。けど我慢、我慢。
「会社遅刻すんぞー」
「……? あれ? 透真ぁ?」
なぜ僕がここにいるのか、さっぱり分からない様子で首をかしげている。それが可愛くて思わず頬に口付ける。ちゅっと小さな音をたて、それを合図にしたように貴正が今の状況に気付く。
「!!!」
僕を跳ね飛ばす勢いでベッドから起き上がると、「なんで朝なんだぁぁぁぁ!!!!」と雄叫びを上げた。
「なんで昨日のうちに起こさないんだよっ! もう朝じゃないか! コラッ、透真!!」
「それは、貴正が起きなかったからでしょ……。僕は起こしましたよーだ」
肩を掴まれぐわんぐわん揺すられながら文句を言う。貴正はそれでも「でもでも」と言いながら泣きそうな目で見てくる。駄目なんだって、その目。僕はそれに弱いんだから……。
「そんなふうに見てもだーめ。今日はとりあえず出社です」
「やーだやだぁ!! 透真ぁぁ」
わめきながら抱きつかれる。僕は何とか抱きとめると、背中をさすってやる。
「今晩ね……。今夜は飲みに行かないからな!」
「……ほんとっ!?」
年甲斐も無く「わーい」と飛び跳ねながらシャワーを浴びにいった。なぜかいつも貴正は、翌日に酔いが残らない。酒には強いが、潰れると次の日までくる、僕とは正反対。
「またやってしまった……」
貴正に甘すぎ。自覚アリでもどうしようもないんだから困った。
とりあえず今晩、激しい夜になりそうだ。

