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ラブ☆ファイト!!
第1章 いち


目の前には、超豪華なシャンデリア、それに一個数百万…いや、数千万はしそうな壺が、素敵なチェストの上に所々並んでいる。

一見、真新しい洋館のようで、屋内はヨーロッパ中世によくある立派なお城のような屋敷だと思った。

それが、あたしにとっての一条院邸宅の第一印象だった。

邸宅と言っても、ここの主である当主夫妻は、現在、フランスのパリに出張していて、この広い屋敷には、使用人を抜かせば、その息子とあたししかいないけれど。

何故、あたしがそんな奇妙な同棲生活を余儀なくさせられたのかは、冒頭の説明文を読んでもらえば分かるだろう。

本当に何故だろうか、数年前まであたしという人間は、巷では有名な不良女子中学生だった気がするのだが…

その時にいたあたしの彼氏は、関東で1番有名な"紅"という名の暴走族の総長だった。

金本千秋……今でも忘れられない人だ。

あたしは彼のバイクのケツに乗って一緒に湘南を駆け抜けるのが大好きだった。

…ああ、こんなにもセレブリティからかけ離れている自分が、何故こうなってしまったのか、今でも信じられないくらいだ。

あたしの婚約者、一条院類という男は、とにかく変なやつ。

毎朝、彼に挨拶をしても、何かを話しかけても、シカトされてしまう。

無言で、見透かすような瞳で虐げられている気がする。

きっとあたしの事が大嫌いなんだと思う。

悔しいけど。
せっかく再婚して幸せそうな母さんの為にも、とりあえず、頑張るつもりだ。

思い起こせば、ロスへ留学した2年間で習得した行儀見習いと言葉使い。

慣れなくて、何度も挫折しそうになったけど、

全部、母さんの為に頑張れたんだから。

でもね、ぶっちゃけ、あたしも、そろそろ、お嬢様のふりは、限界なんだよね!

もういいよね、ここに住み始めて1ヶ月経ったし。

義理は果たしたよね?

決めた!!

よーし、こうなったら、今日こそは、本性出して、やつと、とことん戦ってやろうかと、思う。

一条院類に、シカトされたら、ホントに今日こそは、

「「シカトすんなよ、このくそやろー!!!」」

って、心のそこから叫んでやろう。


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