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ラブ☆ファイト!!
第1章 いち


「…へっくしょん!」


「体が冷えてる。」


ぐいっと腕を引き寄せられた。


「…やだ。抱きしめなくていい!!」


身長の低いあたしは、大柄な類の腕の中にすっぽり、埋まってしまった。

何度も、大きな手で、髪を撫でられてる。

ドキンドキンドキン、こんな気持ち、知らない。

千秋に対する気持ちと、全然、違う。

なんだろう、この気持ちは!!


「あんま夜遅くまで一人でフラフラするな、心配する。」


「え?嘘だ!今までの類の態度は、そんな風には、全然見えなかったし!」


「オレは思っていることを表に出さないタイプだと、よく人から言われる。」


「じゃあ、ずっとシカトしてたのは、何だよ?」


「玲がいつ本性を表すのか、窺ってた。」


「……最悪だ、ふざけんな、類は、あたしのことを何だと思っているだよー!!」


「玲は、一族の中から選ばれた最も適したオレの番って聞いてるけど?」


「は?言ってる意味が全然分からない!」


「ならオレの唯一の婚約者って言えば分かる?」


それは、新しい父親に、散々説明された。
あたしは、類と結婚して類の子どもを生まなきゃならない。
今の母さんの幸せと引き換えにと……脅されたと、言っても、過言じゃない。


「だけど、あたしには……」


「あたしには?」


一瞬、母さんの顔が浮かんでしまった。この先の言葉を言ったら、類は、どう反応するのか、分からない。


言葉を失ったあたしに、類は盛大なため息を吐いた。


「なるほどね!日本へ帰ってきて、忘れられない恋人でも探してた?」


「なっ、おまえには、関係ない!」


「図星か?なら大いに関係ある。例えそうだとしても、オレは別にあんたを咎めたりはしない。」


「だったら、良いじゃん、もう、寝るから、腕を離せこのやろー!」


じたばた暴れても、びくともしない!
類は、怪人かもしれない!信じられない!


「分かった、今回はオレが引き下がる、このまま風邪をひかれると困るから」


腕を解かれて、ほっとする。

でも、とたんに淋しい気持ちになるのは、何故だろう?


「おやすみ、玲」


そして、名前で呼ばれる度に、胸がドキドキするのは、何故なんだろう?

その気持ちに、まだ気が付きたくなくて、思考を強制的に、ブラックアウトさせた。





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