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第1章 プロローグ～茜色の約束～

「うぅ...グスッ....」

夕暮れに染まる公園を、幼い少年が泣きじゃくりながら歩く...
少年は泥に汚れた服を纏い...真新しい傷の有る顔を悔しそうに歪めていた。

「優真(ユウマ)っ！！こんな遅くまで何をしてたの！？お母さん心配...」

少年が公園の出口を跨いだ頃、半ば泣きそうな顔をして公園に走っていた少年の母親がその姿を発見し、一瞬だけ安堵の表情を浮かべて叱責するが、少年の傷付いた顔を見て息を飲んだ。
母親は美しい女性で、何よりも優しい女神のような風貌だ。裕福さを感じさせる身なりも、庶民への嫌味や傲慢さを微塵も与えていない。

「優真...誰かとケンカしたの？」

母親は滑らかな声音で真意を問う。

「だって...だってぇ...あいつらが...悪いんだ。僕は悪くないもん...」

母親は真っ直ぐな瞳で少年を見詰め、少年が嗚咽と共に洩らした一句一句を受け止めるように聞いていた。
言い終えた後母親の腹部に寄り掛かる少年を...母親は優しく抱き締めた。