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恋のリサーチ
第5章 聖夜を・・

ボトルを氷の海に戻した音が聞こえた。

やっと顔を聖夜に向けると、

彼はグラスを掲げて私がグラスを手にするのを待っている。


グラスをもちあげると、



「今日はありがとう。

 これまでの紺ちゃんに

 感謝の気持ちを込めて・・」



囁くようなお礼の言葉の後、グラスを合わせてカチンと鳴らした。

口に含むと、今まで飲んだことのない

上品な甘さのひろがる白ワインだった。



「わぁ、おいしい!こんなの飲んだことない。

 うれしいわ、素敵なワインを選んでくれて」



今夜は・・じょう舌になろう。

うんとおしゃべりしよう。

聞いてみたい事、聞いておきたい事、

思いつく限り、話をしよう。

今、という時を楽しむために・・



料理が運ばれてくるたびにいったんは話を中断するが、

すぐにまた口を開く。



「そういえば・・歳、聞いてなかった。

 いくつですか?聖夜さん」


「いきなりだなぁ!」


「だって・・私の歳はわかっているのに

 あなたはいくつかわからないって、不公平よ」



いつかの、聖夜のセリフをまねてみた。



「そうだよな、その通り。27だ。

 再来月誕生日で28になる」



やっぱり・・10歳も下。

でも私なんかよりずっと人間できているって感じ・・



「恋人は?・・たくさんいそう!」


「またとぶねぇ、話が」


「ありふれててつまんない質問だって思われるかもしれないけど

 ・・聞きたいの!」


「ふ~ん・・恋人はいねえ!

 オンナは山ほどいるけど、今は

 仕事が恋人だ。な~んつってな!

 でもこれは本当のことだ」



こんな返答、全く思いもつかなかった。

仕事が恋人?

そんなに仕事、好きなんだ・・・





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