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第12章 いい湯、旅立ち

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「シンちゃん、ほら柿ピーやるから！おいマツ、ヤッチンを頼むよ〜。あ！コウちゃん、もうミッちゃんには飲ませないでくれや」

裏辺は酔っぱらった老人達の間を行ったり来たりして大わらわだ。

この『朝井旅館』は兄が婿入りした、民宿に毛が生えた程度の小さな旅館である。

この計画のために貸し切りにしてもらったはいいが、妻や息子夫婦のみならず従業員まで休ませているから全ての負担が幹事の裏辺にのし掛かっていた。