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トラワレテ…
第4章 覚醒
「はい…すっかり熟睡してしまって…すみませんでした。ここのところ忙しくて、ろくに寝てなかったもので…御迷惑おかけしました…。」


「体壊したら意味ないよ!程々にね…。」

真っ直ぐな瞳でみつめられ、思わず背筋がのびる。


「はい…すみませんでした。」


「よろしい! なぁ〜んてね。
さ、食べな。送ってってあげるから。」


「いえ!そんな…。そこまでして頂く訳には…。」


「ユリちゃん…。
ここまできたら、素直に甘えなさい。」


「…………すみません…///」


申し訳なくて俯くと、
頭をポンポンと優しく撫でられた。



(馨さんって…優しいなぁ……………///
こんな人の彼女は幸せだろうなぁ…。)


すっかり彼のペースに呑み込まれながら、
ふと思う…。


(でも、この部屋…女の人の気配しないよね?
彼女いないのかなぁ…)


(…って!何期待してんの?アタシ………)





「じゃ、行こうか。」

「はい!」


マンションのエントランスまで下りると、
受付の男性が声をかけてきた。


「香月様。おはようございます。」

「おはよう!吾郎さん!」


吾郎さんと呼ばれた初老の男性は、馨の後ろを歩くユリの姿を見つけると、一瞬驚いた様な表情を見せたが、すぐに何もなかった様に

「いってらっしゃいませ。」

とにこやかにお辞儀をした。





「ユリちゃん。先に出て待っててくれる?
車回してくるから。」


「あ!はい!わかりました。」



(香月さんって言うんだ…。香月 馨…。
ん?どっかで聞いた事ある気がするけど…?
うーん……………?)


思い出せずに悩んでいると、目の前に一台の高級車が止まり、馨さんが降りてきた。

さりげなく助手席のドアを開け車に乗せてくれる。


(うわぁ…。さらっとこんな事できる人初めて…。
映画の世界だ……///)


「さてと…。どこに向かったらいいかな?
ナビしてくれる?」


簡単にマンションの住所を伝えると、


「あれ?それじゃー、ここからすぐだね。クスっ
5分もかからないかな?ご近所さんじゃん!。」


「えー!?先月引越したんですけど、まだ全然知らなくて…。」


5分もかからない…その言葉に少しさ淋しさを覚えた…。














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