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例えば、こんな...
第1章 先生と男子高生
放課後、俺は屋上のフェンスを抱え込むように寄り掛り、隣の東棟との間を結ぶ三階の渡り廊下を眺めていた。
左手でコーヒー牛乳のパックを持ち、足元の左右に女子高生を侍らせて。
「ねぇ拓真ぁ、早くしようよう」
右足側にいた子が立ち上がって後ろから俺の首に腕を絡める。甘ったるい匂いの香水が纏わり付いてきて、ちょっと不愉快。
これから大事な用事があるっていうのに……
「んー今日は無理。予定ある」
「えぇー昨日もそう言ってたよ。拓真塾行ってないのに、何してるの?」
「内緒」
フフッと笑って覗き込んでくる彼女の額にキスを一つ。
「あーっずるい、アイも!」
反対側に座っていた子が勢いよく立ちあがった。右の彼女の手を払いのけ、力づくで振り向かせられた。伸び上がるようにして正面から抱きついてくる。
「んーっ」
今にもくっ付きそうな唇を右手で覆い、その上からキスをする。
「いやぁん、なんかやらしい、それー」
きゃっきゃと二人で笑い合う。女の子って賑やかで可愛いよね。
やっとそう、思えるようになった。
空を見る振りをして、彼女たちから渡り廊下に視線を戻した。

あ、来た……

栗色の髪。
淡いピンクのカーディガン。

真純ちゃん、だ。
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