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暁闇
第8章 好意と好きと
「だからさ。言うのは大事なことだよ」
「翔悟さん――――」
「……なんか、丈には俺みたいに後悔してほしくないって思う」
真剣な顔をして俺の話を聞く丈に、ついそんな言葉を零してしまった。
流してほしいと思ったけど、丈は、え……? とその言葉の意味を目で問うてきた。
誤魔化すのも、今更か――――そう、思った俺は再び言葉を続ける。
「俺がそうだったからだよ」
はあ……と、溜め息をつきながら。
「ずっと好きだった友達がいて。誰とも付き合う気がないって言ってたから、俺は友達の立場のまま、ただ黙って何年もそばにいたんだ。
……そのうち、彼女は自分の想いに気づいた。俺じゃない違う人への想いにな。
彼女の変化に気づいた俺は告白したけど。もう俺の想いの入る隙間なんてないほど、彼女の心はその人でいっぱいだった」
「翔悟さん……」