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暁闇
第8章 好意と好きと
「もし、彼女がその想いに気づく前に俺が告白してたら、彼女は俺の気持ち、受け入れてくれてたのかな、とか。
そしたら、その人への気持ちなんて気づかないまま、俺への気持ちでいっぱいになったのかな、とか……しばらくはいろいろ考えたよ。
まあ……たらればなんて意味ないけどさ。それぐらい後悔したってことだ。なんでもっと早く行動しなかったんだ俺は、って」
丈は、黙ったまま唇を噛んで。
テーブルの一点をじっと見つめていて。
「……丈」
声をかけると、静かに顔を上げて視線を合わせてくる。
「俺の言えることはそれだけ。
……あとは自分で決めろ」
「ん」
小さいけれど、しっかりしたその呟きに俺は安心した。
……たぶん、丈は大丈夫な気がする。
「サンキュ、翔悟さん」
きゅっ、と強く結ばれた唇。
俺は頷きながら、それを確信した――――。