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暁闇
第8章 好意と好きと
「ああ」
俺もそれに答え、眠ろうと目を閉じる。
――と。
「……翔悟さん」
小さい声で、呼ばれる。
何? と言葉を返すと、
「……変なこと聞いたのに、ちゃんと答えてくれてあんがと。
これからもオレと姉ちゃんのこと、よろしくです――――」
そんなふうに、小さな声で。
「……ん。俺も、話聞けてよかったよ」
「へへ。じゃ、おやすみ!」
丈はそう笑いながら言うと、あとはもう言葉を発さずに。
やがて聞こえてきた小さな寝息に、ふう……と息を吐いて、俺は思った。
丈にはっきりとぶつけられたそのこと。
それで気づいてしまった、彼女への確かな感情。
それはまだ、たぶん名前も持たない。
ひとつひとつのピースが、合わさりながらひとつのそれへと変わっていくように。
いつか何かに変わっていきそうな。
……そんな予感だけはする、その想い。
あおいさんと出会ってから、既にもう5か月が経っていた――――。