この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
暁闇
第8章 好意と好きと
……それに。
出会いが、出会いだから。
まだ、あおいさんの中には葉月先輩がいるかもしれない。
だって俺の中にだって、桜井の存在はまだある。
彼女のことを思うときは、だんだん少なくなってはいるけれど。
完全に消すなんてこと、この先できるのか正直わからない。
そんな状態で、誰かを好きとか……そういうことを口にしてはいけない気がした。
「……ふうん」
黙り込んだ俺に、丈は言った。
「なんかさ、大人ってめんどくさいね」
その言葉に俺は思わず吹き出す。
「……だな。
幸いなことにお前はまだ子供なんだから、よけいなこと考えないでちゃんと告れよ」
「了解っすー」
そう答えると、じゃあもう寝るー、と宣言し、
「おやすみ~」
と、声を掛けてきた。