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暁闇
第4章 ふたりの想い
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……ひとりでどこか寄って行くか。
そんなふうに思って、顔を上げ前を向いたときだった。
「あれ……」
自分の少し前を歩いている女性。
たぶん、あの人は――――。
そして、さっきまで忘れていたあの疑問が再度沸き上がるのを感じた俺は、思わず足を早める。
聞きたかった。
彼女があのときいったい、何を俺に言いたかったのかを。
「……あの」
彼女に並び、声を掛ける。
俺に視線を向けたその顔。
唇が、あ……と形作るように動く。
足が止まった。
「さっきはどうも」
軽く頭を下げると、彼女もそうしてきた。
「……二次会、出ないんですか?」
そう聞かれ、俺は頷く。
「私もです」
答えた彼女。
その言葉に、思わず口にした。
「もしよかったら……少しお話できませんか?」
「……はい」
彼女は、すぐにそう答えてくれて。
ひとりでいたくなかった。
でも騒ぐこともできなかった。
そんな想いでいた俺の前に、同じようにひとりでいたその人。
あくまでも静かなその佇まいが、俺はとても気になってしまったんだ――――。
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