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暁闇
第4章  ふたりの想い


ふたりで、バーに入った。
カウンターに並んで座り、オーダーを済ませる。


「……私、松下といいます。松下あおい、です」

「あ……そっか。名前もまだでしたよね。村上翔悟です」


あらためて名乗り合う。
なんだか変な気分だった。


「……さっき、前を歩いてる松下さんの姿見て、思い出して」

「え?」

「会場で、何か俺に言い掛けたじゃないですか」

「……ああ」

「何て言おうとしたんですか?」


俺の言葉に彼女は俯いて。
バーテンダーが出してくれた、オリジナルだというその赤い綺麗な色をしたカクテルにそっと口をつける。

それから静かに


「……私と同じ立場なのかな、って」


ちらりと、俺を見て。


「そう、思ったんです――――」


そんなふうに、言った。


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