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第5章 　終わらせる決意

「……俺は自分のために動いただけで」


決して、いい人なんかじゃない。


「なのに、先輩も桜井が好きだったせいで……結果的に俺が後押ししたみたいに思われた、ほんとただそれだけで」


俺は、いい人だって思われたかったわけじゃなくて。
ただ、桜井に自分を見て欲しかった――――それだけだった。

あのときの複雑な気持ちを思い出し、思わず黙り込んだ俺。
静かに松下さんが口を開いた。


「……村上さんは、本当に琴音さんの幸せだけを考えてたんですね」


え……？　と、彼女に視線を流すと、松下さんはちらりと俺を見て。


「だって、話すことで琴音さんの想いが桜井くんに受け入れられたらそれは間違いなく幸せだし。
……もし、受け入れられなかったとしても、村上さんがきっと琴音さんを支えただろうし。
ただ、ひとりで想いに苦しんでる状態よりは、確実に幸せになれたと思うから――――」

「松下さん……」