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知らなくってもいい性
第2章 要するに誘拐か
「力?」

意識がはっきりして、間違いなく隣に彼がいるのだと把握した。
でも体はまだすぐには動かない。

「俺飛べるんだよ。瞬間移動ってやつ?
飛ぶためにはいくつか条件もあるんだけど、とりあえず会いたい。って強く思えば側にいける。
そんで、連れてきた。もう離さない。」

自分の力に酔っているような彼の目は真っ直ぐに私を見つめているが、どこか不気味だった。

要するに誘拐か。
早く逃げないと!

上体をなんとか起こして、あたりを見渡す。
どうもベットの上のようだ。

そして狭くもなく、広すぎない部屋の中にいた。簡単な台所に独り暮らし用の冷蔵庫が置いてある。

一見どこかのアパートの一室のようだけど、窓が見つからない。ただ、ドアが二つ見えた。どちらかは外に出られるだろう。

「逃げられないよ。」
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