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第9章 麗と誠

上映が終わって、ロビーが落ち着くのを見計らって外に出る。

映画の余韻に浸りながら、彼女は楽しかったと何度も繰り返しお礼を言う。

「本当は、郡兄がダメって言ったときやめようかと思ったんですけど、すごく見たかった映画だったし、もう今週で上映スケジュール終わってしまうから、誠さんが一緒に行ってくれるって聞いて、とっても嬉しかったんです。本当にありがとうございました。」
とびきりの笑顔で言われる。

「俺も楽しかったから、またいつでも付き合うよ。」
「誠さんも映画お好きなんですか？」なんてこちらに体ごと向けながら嬉しそうに話す。

今日みたいなサスペンスよりはアクションを良く見るけど…なんていいながら映画館を出ようとした時後ろから声をかけられた。


「誠さん？」
「・・・悠太・・・１人？」一瞬にして周りにルイがいないか確認していた。
「ルイですか？あいつ今日、じいちゃんが病気って連絡来てあわてて帰ったから、いませんよ。宮内さんと手を繋いで一緒に帰ったのも内緒にしておきますから・・・安心してください。」
ははは、この兄弟は・・・（苦笑）


そんな話をしながらなんとなく3人で映画館を出る。