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オオカミ君のホンネ
第20章 変化
そのまま自分の家の鍵を開けて上がった。

いい匂いがする。

台所に幸也が立っていた。
幸也も気づいたようで手を止めて近づいてきた。

言わなきゃ。

幸也が危ないから。

「染詠、あの「俺に近付くな。」

幸也の言葉を遮って話した。
幸也は目を丸くしてる。

「もう、幸也とは付き合えない。苦しいんだ。信じられなくなった。アパートはお前らに譲るから、好きにしろ。家賃は自分で払えよ?」


母さんから、『結婚して義弟もこっちに来るから一緒に住もう』と言われているから、そこで住んで学校に通うつもり。




「………なん……で………なんでなん?」



幸也が泣いた。


…ごめんね幸也。


泣かないでほしい。


笑っててほしい。


「ごめんね…」

立ちすくむ幸也を置いて、荷物だけまとめてアパートを出た。


悲しいのは一瞬だけ。



笑って暮らせるようになるよ。
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