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オオカミ君のホンネ
第21章 義弟
染詠はよほどのことがないと人混みや人の多い場所にはめったに行かない。一応ここでは納得したフリでもしておこう。

「…そうか……」

「んじゃ、さっさと入れば?」

夏亜の浮かべた妖しい笑みには異様な威圧感があって、入るしかなかった。

ギギィ…

「…染詠?……」

「ん……穣ッ…はぁッ…はぁッ…はぁッ……」

目の前に広がる光景は信じられないものだった。奥のベッドに仰向けで寄っ掛かる染詠は苦しそうに肩で息をしているというのに、周りの6~7人の男はくつろいでいる…。

「……染詠…苦しいのか…?」

「ち…違う……からッ…はぁッ…」

俺達の会話が可笑しいというように、先ほどから周りの男達は笑いを堪えているようにも見える…

「染詠、借りても…ッ……ぐ…!?」

承諾を得る前に染詠に手を伸ばしたときだった。横に居た男はいきなり体制を変えて、俺をベッドに仰向けに押し付けて馬乗りになると豪快に笑い始めた。

「……プッ、あっははははははは!!なに言ってんだよ…コイツは今快楽と戦ってんだよ(笑)」

(…快楽と戦ってる…?
男の言ってる意味が理解できない俺を差し置いて夏亜は満足そうに話し始めた。

「俺さ、あんたのこと待ってたんだけど、自分からノコノコとやってきてくれるとはね~(笑)」

「…何言ってんだよ!…染詠…?」

染詠を見れば顔を真っ赤にして涙目で息が荒くなってきている。

「そろそろイくんじゃない?ここまで保ったヤツ初めてだよ」

そんな染詠の様子を見て、染詠の目の前に座る男は楽しそうに呟いた。
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