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オオカミ君のホンネ
第14章 偶然という名の出会い
染詠side

あーあ…ツイてない。
初日からとか(笑)

「……最悪………」
ポツリと呟いた言葉が、控え室に虚しく響く。

アイツは……やっぱり俺に隠して、やりたい放題やってたんだな。
「私はお母さんよ」?…はあ?頭おかしいのか?今まで散々親の顔なんて見せなかったくせに、お母さんだなんてイかれてる。飯だってロクに食わせてもらったことがない。いつも一人。………いつまでたっても。
一度、3Pしようと言われたが、
さすがにひっぱたいて
1日家に入れなかった。
しかし、そんな事があっても次の日になると、隣部屋から夜遅くに聞こえる女の甘ったるい喘ぎ声と、腰のぶつかる音に男の息づかい。そのうち、母さんと呼ぶことすらおぞましくなった。
呼ぶと、憎悪と恐怖と怒りで吐き気を催した。
下手すれば殺そうとしたこともある。
呑気に男と隣部屋で寝ているアイツに包丁を振り上げたところで正気に戻ったが。
そして自分にも嫌悪感を持った。
気持ち悪い、怖い、憎い…と。
忘れようとすればするほど蘇る汚染された記憶。吐き気がする……。

「……クソッ…」

気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い……………
「染詠!」
柳さんの声で気がつくと、右手にカミソリを持っていた。
…あぁ………自分が恐くて堪らない……
ガクンッ
そのまま膝から崩れ落ちた後、記憶が途切れた。
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