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ワンダー*ワールド
第1章 〈15年前〉 吉澤 桃子、24歳。

───私は別に、どこか秀でた才能が有る訳でもなく、周りと違うところがある訳でもない。
私は普通の人間なのだ。
小さい頃から並に“可愛いね”と言われ、告白も何回かされたし、何人かと付き合った。
恋したことだってある。
それでも、どっかの恋愛小説みたいに、
やれ学校一の王子様だの、金持ちの御曹司だの、ヤンキーの頭だの、
そんな人との恋なんてのは一ミリも起きなかった。
元々普通の町だし。
毎日を平凡に過ごして、並に勉強して、学校行って青春して。
高校はもちろん大学もちゃんと卒業して、
今は昔興味を持った雑誌記者なんてやってる。
きっとこのまま、ずっと平凡に過ごして、私は死んでいくんだろうな。
どっかのサラリーマンと結婚して、子供は一人でもいればいいかな。
専業主婦はつまんなそうだし、記者は楽しいから仕事は続けて。
特に冷めることも熱が上がることもない夫婦生活を過ごして、
普通………、の家庭を築くんだ。
それをするにはまず結婚…
30までに出来ればいいかな。
30歳で結婚したとしても、二年後に子供産んで、
もう一人くらい兄弟を設けられる。
ああ、そうだ、
それが私に合ってる。

