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ワンダー*ワールド
第2章 〈15年前〉 百果、0歳。

「──百果~」
甘い声を出しながら、ベビーベッドに張り付く彼。
そのままふにゃりと破顔され柵に項垂れる光景は、
ここ数ヶ月見っぱなしのものだ。
晴れて父親になった彼、千里くんは生まれたばかりの娘にメロメロ。
あからさまに娘のそばを離れなくて、
これは過保護になるなぁと誰にも思わせた。
(…“娘はやらん!”、とか、やりそう)
ふふふ、と笑うと、すぐ後ろでぐずるような声がした。
「桃子ちゃーん」
「はいはい、今行きます~」
洗濯物を干す手を止め、パタパタと二人の元へ駆ける。
そんな私も、晴れてお母さんになった訳で。
ベッドで目許を濡らす娘・百果(もか)を抱き上げると、私は素早く片方の胸を露わにし百果へと差し出す。
百果は小さな手でペチペチとお乳を触り、ぱくっと食べるように口を付けた。
ちゅうちゅうと必死に吸う感覚が少し痛さを生む。
でも私達の娘はそれさえも愛おしくて、
千里くんと顔を見合わせ微笑んだ。

