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嘘でもいいから
第5章 初めてを貴方に
向井さんの口から出るのは
酷いことばかりだったけど…

それからの態度は紳士的で…
いつもの向井さんに戻っていた。

これは営業用の向井さん…

そしてさっき垣間見えたのが
本当の…向井さん本来の
姿なのかもしれない。

なぜだかもう私は涙も出なかった。


「俺は帰るから…
優花ちゃん泊まって行ってよ。
何だったら誰か
呼んで泊まってもらってもいいし。
ルームサービスの朝食が
2つ来るからさ」


冷たい声で言いながら
持ってきたバスローブで
優しく私の身体を包んだ。


その後、向井さんはいつの間にか
部屋を出て行ったけど…

朝焼けになるまでずっと
私はそのままの体勢で
眼下に広がる東京の夜景を
一人眺めていた…
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