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HOTEL・LOVE
第12章 晴樹の憂鬱


「おはようございます・・」


「どうした?なんか

 顔色悪いけど・・」



心配してくれてありがたいけど・・

あんたのせいだよ・・



「いえ、最近疲れがとれなくて・・」


「おいおい、おまえまだ30半ばだろう?

 そう言うセリフはオレらくらいになってからだよ」



とんでもない場所でオレに見られたことも知らないで・・

おめでたいよな、相澤さん・・


へへ・・と、薄っぺらな笑いを返したところで

エレベーターの扉があいた。

乗り込んでから向き直ると、

人のかたまりの中に

河井恵の姿を見つけた。

あ、こっち、見たかな?


隣りの相澤に目を向けると・・

とくに彼女に目はいっていない。

流れるように変化する

フロアの表示をじっと見ている。


自分たちの降りる12階で扉が開く。

エレベーターから吐き出された人々の中から

この2人だけが

違う光を放っているように見えた。

この後、この2人は

どんな視線をかわすのだろう・・
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