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第13章 その一歩

休憩時間、香澄は聞きたい、と思いながらも

やはり口にはできなかった。


あの２人の事・・

会社の中で、

不倫をしている男と女は

どんな日常を送っているのだろう。

はっきり言えば興味本位。

だけどそれだけじゃない。

彼らを目にしながら一日を過ごす、晴樹の心は大丈夫だろうか。

それが気になって仕方なかった。



わざとテレビの中の話題に話をむけたりしてみたものの

どこか気がそぞろ、な事は、

晴樹にはお見通しだったようだ。



「笹木さん・・気にしてんでしょ、あの２人の事」



ずばり、言い当てられて、もうこれ以上ごまかしても仕方ない、と

開き直ってうなずいた。



「うん、気になってた・・

　杉山さんの事も・・」