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HOTEL・LOVE
第9章 さらに縮まる距離

「すいません、なんか・・」


「なんで?別に謝ることなんかないじゃない。

 私たちは仕事を終えて出てきたんだから。

 それに相手が杉山さんなら恥ずかしくないし」



同じ速度で歩く男を見上げて香澄は微笑む。



「え?それって、どういう意味?」


「他のおっちゃん達だったら

 違います!この人はここの職場の同僚ですって

 言い訳するね」



それを聞いて晴樹は空を見上げながら

声をあげて笑った。

笹木さん、オモシロすぎ!と笑った。


2ヶ月の間に一緒に仕事をしたのは10日。

それでも十分、打ち解けられた。

職場の先輩後輩として。

仕事はもちろん、

マニュアル以外にいろんな知恵を教えてくれた。

休憩時間も

同じ職場で働く仲間としての

失礼のない程度のプライベートを話したり。


出会った頃の、

彼女に対する想い、も少しは

落ちついてきた。

今でも女を意識することはあるがそれよりも、

信頼関係を築けた仲間になれた、ということが

晴樹には大切な事だった。




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