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【SS】目が覚めたら…?
第7章 【2000拍手突破感謝】Ⅱ.王子の憂鬱
 

 そんな時だった。



 聞きたくもないSeasonの曲が、部屋に流れたのは。


 そしてあろうことか――。



「Haruっ!?」



 果て間近の僕を簡単に離して、しーちゃんが……サイドテーブルのスマホに飛びつき画面をいじると、大声で叫んだのだ。



「やった――っ!! ライブ後のHaruの握手券っ、抽選あたった――っ!!」


 チケットには特別な抽選があるみたいだと、サクラからは聞いていたけれど。

 だけど今、それは関係ないよね?


「し、しーちゃん……ねぇ、それより……」

「やったやったやったっ!!」


 甘い甘い、あの淫らな時は帰らない。

 しーちゃんの心は忌まわしきHaruに奪われ、僕に帰らない。

 縋るようにしーちゃんを抱きしめ、マイクロフリースですりすりしながら愛情のキスをしても、しーちゃんは上の空。


「Haruと握手、きゃああああ!!」


 僕は、あんな……オトコに負けたの?

 果て間近なしーちゃんの快楽を打ち負かすほどに、僕を中途半端に放置する程に……Haruはそんなに魅力的なの!?



「やっぱり愛があれば、奇跡が起こるんだね!!」

「ウサギさんにも、愛をちょうだい?」


 奇跡に至る前に、放置プレイをされた羞恥のウサギ。


 ウサギは、寂しいと死んじゃうほど、か弱くて繊細な動物なんだ。


「Haru~っ!!」

「こっち見て、しーちゃん」

「楽しみぃぃぃ!!」

「ぴょんぴょん、ウサギさんだよ……?」

「きゃああああん、嬉しいぃぃぃ!!」



「しくしく……」



 猛ったモノもショックで萎え。

 それすら気づかぬ、全裸のしーちゃんの歓喜の雄叫びを聞きながら、僕はしーちゃんの枕に突っ伏して、しくしくと泣いた。

 
 ああ……忌まわしきHaru。

 僕もしーちゃんも、寸止めにしてほくそ笑む…憎々しいHaruを許すまじ!!

 

「Haru~っ!!」


 プツンとどこか切れる音がして、気づいたら僕は……握手会への引き替え画面になるメールを削除していた。



 ウサギの憎悪を思い知れ!!

 僕のしーちゃんに触れさせるものか!!



「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」



 ……それから、しーちゃんは僕とも口を聞いてくれなくなった。



 ナツSide → Next stage……
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