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【SS】目が覚めたら…?
第30章 【ハロウィン企画】Happy Halloween ? 
 

「ああ、帰ってくるのなら、こんな恥ずかしい思いしてまで、ここにこなけりゃよかった」


 しかもハル兄の仕事場でしてしまうなんて、破廉恥すぎる。


「お前は俺に食われにきたんだろ?」

「そんなわけないでしょうが!」

「聞こえねぇな。……シズ、男はな…、仕事場っていうのが牙城だ。その俺の世界にお前がそんな格好して乗り込んだんだ。それは俺に捧げられた据え膳ってことだろ?」


 ああ、また始まった俺様ルール。

 だけどハル兄の嬉しそうな顔を見ると、なにも言えない。



 だけどそれもちょっと悔しくて、当初の目的を口にする。


「あたしはただ、あのパンプキンパイを……」


 そして――口移しで食べた時のことを思い出す。


「ごめんね、あの塩のカタマリ…。よく食べたね」


 失敗したパンプキンパイの味を。
 

「知らねぇ。うまかったからうまいといっただけだ。


 優しいな、ハル兄は。


「そういうところは昔から変わっていないね。あのカレー」

「よし、だったら今度は俺がこのカボチャを被る」


 突然なにが"よし、だったら"?


「え、なんで?」


 もう既にカボチャをつけているハル兄。

 被る前の顔がちょっと赤く思ったのは気のせいだろうか。


「勿論、うちに来る予定の、サクラのバイト先にいくためだ」

「白衣のカボチャ姿で?」

「ああ。今日はハロウィンだからな」



 ごめんねモモちゃん。

 あたしがこんなカボチャかぶってきたばっかりに、きっとモモちゃん驚くよね。……だけど見てみたい。モモちゃんが驚く姿を。


「あ、だけどもうお菓子がないや」

「食わせねぇよ、あいつにも」


「え?」


「……なんでもねぇ。菓子なら家にあるだろう、ナツがたくさん作っているはずだ」


「ああ、そうだね」


「よし、早速、俺様カボチャマンは、サクラを拉致してこよう」

「え、まだモモちゃんバイト上がる時間じゃ……」



「俺様ルール」



 ……モモちゃんごめんね。

 本当にごめんね。

 


 それから数十分後、ウェイトレスの制服姿のまま、白衣のカボチャマンに無理矢理肩に担がれ、拉致されたモモちゃんの絶叫が、東京の界隈で響きわたりましたとさ。



 これぞ本物、身の毛のよだつ…Halloween♡





【完】

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