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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
これならば、あたしに快感を与えられずとも、日頃の会話ややりとりでほっこりさせられていた小人姿の方が、よほど充足感があった。
少なくとも、あたしはナツ達を置いて出て行きたいと思わなかった。
ナツ達とずっとここにいてもいいと思ったのだ。
だけどこのナツに対しては、無性に不安になる。
どこかに行ってしまうかのような不安定感。
消えてしまうかのような儚さ。
だから余計、ナツと身体を強く繋いでいたくなる。
どこにもいかぬよう、引き留めていたくなるんだ。
今のあたしの方が、この場所に囚われた小人だ。
その肌に触れ、その唇から甘美な声を聞き、熱に蕩けた眼差しを感じて、全身であたしを欲しがるナツを見れば、ナツの瞳に映っているのは自分だけなのだと確認できれば。ナツはここにいると安心するけれど。
だがナツが時折、くっと苦しそうな顔をして、仰け反るようにして目を瞑る時、あたしから視線が外れるその一瞬に、また不安がぶり返るんだ。
ねぇ、身体が幸せを感じる瞬間に、思い出すのは誰?
どこに想いを馳せたの?
誰を思い、そんな妖艶な男の表情を見せるのか。
余裕をなくすぐらいの快感を、ナツの心に与えているのは誰なのか。
ナツが本当に叫びたいのは、誰の名前なのか。
心が苦しい――。
ナツがあたし以外にこうして情熱的に抱いた女がいるのが。
こうして妖艶な顔を見せて、こうして身体をあますところなく愛撫をして、触って舐めて、そしてそそりたつ男の象徴を、何度も女の蜜壷の奥に繋げて。
こんなに凄絶な艶香を撒き散らして、愛おしそうに相手の名前を呼んだのだろうか。
あたしにとっては、ナツがハジメテで、ナツだけしかいない世界なのに、ナツにとっては、女はあたしだけではなく。
今、あたしの身体を抱いているのは、初物で物珍しいから?
あたしだから抱いているのだと。好きだと思う心は偽りではないのだと、ナツにそう言って貰いたくて、勇気を振り絞って聞いたというのに。
ナツは、訂正するでもなく、あたしを安心させるだけでもなく。
嘘をついた。
堂々と本当だという顔をして、快楽で誤魔化した。