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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
 

 求めているのは身体だって?


「違う、僕が欲しいのは君の心だ!! それが叶わないとわかっているから、せめて身体だけでもひとつになりたかった…」

「どうして叶わないと思うの!?」


 しーちゃんの濡れた目が僕に噛みついてくる。

 詰るように……。



「ねぇ、ナツが本当に愛しているのはなに?」


 はらはら、はらはら。


 綺麗に光るしーちゃんの涙は、僕の傷だらけの心に滲んで痛みを生じさせる。僕から、掠れた声が出た。


「僕が好きなのは、しーちゃ……」

「好きなのに、突き放すの!?」


 しーちゃんの目から、ぶわりと涙が溢れた。


「どうして自分だけが好きだと思うの? どうしてあたしの気持ちを考えてくれないの? どうしてあたしの心が手に入れないと思うの!?

自由ってなに!? あたしいつ、ナツと一緒にいるのが嫌だと言った!? あたしの心はいつでも最初から自由だった。その心で、自分からナツの傍から離れたくないと、ここで一緒に生きたいと思っていた。

ねぇ、あたしが自らそう思っていると、あたしは自ら縛られていたのだと、そう考えてくれたことはなかったの!? その理由を考えてくれたことはなかったの!?」


「え……?」


 しーちゃんが好きすぎて、僕の頭がおかしくなったのだろうか。

 爆ぜるしーちゃんの言葉尻から、その悲痛な濡れた目から……、僕同様に、愛が欲しいと訴えられているように感じるなんて。

 勇気を振り絞ったとでもいうように、ぶるぶる震えるその手に、烈しすぎる僕への恋情を感じてしまうなんて。


 このままだったら、僕は勘違いしてしまう。

 離したくなくなってしまう。


 しーちゃんは黒髪を振り乱して、僕の腕をがっちりと掴むと、その綺麗な黒い瞳を烈しく揺らして見上げてきた。
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