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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
ああ、この男の、悪者になりきれない強靱な理性を、壊してみたい。
威嚇しながらあたしの意志を伺うような優しさはいらない。もっと我武者羅にあたしを求めて欲しい――。
――シズル……っ。
あの色っぽい顔で、助けを求めるようにあたしの名前を呼んで貰いたい。
至近距離で、あたしを見つめながら――。
「組み敷いてもいいから……シズルってあたしに言って?」
「……っ!!」
あたしの漏らした本音に、サクラは目を見開くと、悔しそうに唇を噛みしめ頭を垂らした。
そして――。
「そのこだわりが、俺のを見た優越感だというのなら――」
片手を伸ばすと……、先程あたしの顔を拭いた服に入っていたらしい、メガネを取り出した。
片手でメガネを装着した彼は、天井を振り仰いでひとつ大きな深呼吸をすると、あたしを見た。
それまで、たくさんの感情を抑圧しているがゆえに"男"の攻撃性を見せていたサクラは、いつも見せていたような無表情な鉄面皮へと変わり、葛藤じみた感情を露わにすることを遮断した。
そして代わって見えるのは、
「……秘め事を覗いた…お仕置きが必要ですね」
意地悪な……超然とした顔。漏らされた言葉は、不遜で他人行儀な言い方。
そして――。
「俺にも、見せて頂きましょうか。あなたの感じているその顔を」
残虐にも思えるほどに秘めた"男"を見せつけながら、悠然と笑うサクラはあたしの両手をバンザイとさせた状態のまま、脱ぎ捨てた服を捻って縛った。