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可奈さん
第4章 傘
可奈さんをちゃんと笑わせてあげたい。せめて哀しい思い出を薄める事ぐらいは俺にだって出来るんじゃないか。

邪魔か?

いやいや邪魔が必要だ。余計な事を考える時間を減らす方がいいよな。


階段を上がり、カーテンが閉じられたバルコニーを見た。

彼女はもう通りを覗く事はないだろう。苦い思い出は忘れるに限る。

まだ泣いてるんだろうか。

何ができる
どうすればいい


……


俺なに考えてんの?


窓辺には誰もいない。

でも俺は待った。

さっき会ったのにもう逢いたい。


雲がゆっくりと流れ、月がその存在を心細げに滲ませるまで、俺はあの人を待ち続けた。






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