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Could you walk on the water ?
第21章 Could you walk on the water ?
「刑事さん、そのテープが殺人の証拠としてはあまりにも弱いことぐらい、あなたにはわかるはずだわ」

広瀬に向かい、沙織はゆっくり歩き始めた。

「・・・・・・・・・」

「セックスの快楽に任せて、私たちは他愛もない話をしていただけよ。それに、具体的なことは何一つ話していない。違うかしら」

「逃げるつもりですか」

「逃げるも何も、このテープのどこに証拠があるのかしら」

「・・・・・・・・・」

「私が主人の弟と共謀? 主人をだまして堀内の全てを弟と独占するために? ふざけないで。こんなテープ、少しもこわくなんかないわ」

「・・・・・・・・・・・・」

「誰が、いったいどうやって爆弾をしかけたの?  誰が点火させたっていうの? 堀内があそこに立つ時間なんて、誰にも予想なんてできなかったはず」

「・・・・・・・・・・・・」

「そもそもこの盗聴は犯罪行為よね。これは私と録音者の会話ではないわ。こんなもの証拠になんて、できやしない」

「沙織さん、いったいどこまで・・・・・・・・・」

思わぬ展開に言葉に詰まった刑事のことをクールに見つめ、沙織は言った。

「刑事さん、こういうシナリオはどうかしら」

「・・・・・・・・・・」

「あの殺人は、相本大介と剛、彼ら兄弟が全て仕組んだ。兄の復讐を果たすために、弟が奔走したのよ」

「何を言い出すんですか・・・・・・」

広瀬の前からゆっくりと社長室のドアに向かった沙織は、そこを固く施錠した。
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