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甘いだけの嘘ならいらない
第2章 カクテルに浸かる透明な嘘


英士くんは、あたしがあまりお酒が強くないのを知ってる。


アルコール度数の低いカクテルやチューハイなら数杯飲めるものの、ビールもワインもだめ、日本酒や焼酎に至っては一口だって飲めない。


果実酒は好きだけど、意外と度数が高いから、ソーダ割りにしないと酔ってしまう。


英士くんとふたりで飲むときも、本当に軽めのカクテルを選ぶようにしてる。


だけど、普段はあまり飲まないけど、たまに飲みたくなった時には、英士くんと一緒にスーパーとかに行って、リキュールとソーダを買って家でカクテルを作って飲むこともあった。


「帰り、連絡してよ。迎えに行くから」

「ありがとう。でも遅くなると思うから、無理はしないでね」

「ん。ありがと」

「じゃあ、行ってきます。英士くんも気をつけていってらっしゃい」


笑顔で見送ってくれる英士くんに手を振り、家の鍵を閉めると、駅までの道を歩いていく。


会社に着いても、彼のさみしそうに唇を微かに歪めた表情は脳裏から離れてはくれなかった。


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