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甘いだけの嘘ならいらない
第9章 ただその刹那のためだけに
「えいし、くん…」
「…人間だから、間違いのひとつやふたつくらい、誰だって起こしうることだよ。確かにまだ、赦せない。忘れるには時間が必要だと思う。……俺にも、君にもね」
「……うん」
「理紗だって、傷ついて、自分を責めてるって、言われなくたって俺にはわかるから。理紗のこと、ずっと見てきたんだから」
優しくしないで、いっそもっと罵って。
英士くんが気の済むまであたしを傷つけて、捨てて、忘れてくれたらいい。
あたしは心のなかでそう思ってる。
だってあたしはそんなことでしか、あなたの傷を癒すことなんて、きっとできないから。