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甘いだけの嘘ならいらない
第9章 ただその刹那のためだけに
「奏多には、もう報告して、証人になってもらったよ。……理紗の意見も聞かないで、黙って話を進めて、ごめん」
「…うん」
「だけどわかって欲しかった。俺が理紗のことをどれだけ想ってるか、どんなに必要としてるかってこと」
「……うん」
英士くんはあたしをそっと抱きしめて、唇に触れるだけのキスをする。
優しさで溢れた、あたたかいキス。
その優しさに泣きそうになって、あたしは静かに俯く。
「好きだよ、理紗。たまらなく好きで、泣きそうになるくらい」
二度目のキスは唇を甘く食むようにして触れて、ゆるやかに深さをましてゆく。