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甘いだけの嘘ならいらない
第10章 泣き虫な君には甘いだけの嘘を
ようやく離された唇に、涙をこらえながら、あたしは北条部長を壁のほうにトンッと突き飛ばした。
「っ……北条部長、ごめんなさい…」
「…強引にキスされたのに、何で俺に謝るんだよ。ひどいことされたのは、理紗の方だろ」
「……あたし、英士くんが大事なのに、英士くんとの未来しか思い描けなかったのに、北条部長のことも、拒めなくて。だから、傷つけて……なのにひとりだけ幸せになって、ごめんなさい…」
「…そういうところが」
言葉を区切って、ちいさくため息を吐くと、北条部長は困ったように笑った。