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甘いだけの嘘ならいらない
第4章 月が溶ける朝
「夢なんかじゃない。嘘でもない。真実だと信じることができないなら、何度でも言うよ」
「…うん。好きって言って」
「好きだ。もう、理紗に触れる前には戻れない。どうしようもなく、情けないくらい、好きだよ…」
本当はどこか、不安だった。
遊ばれてるのかもしれないとか、からかわれてるのかもしれない、とか。
翔に好きになってもらえるような、彼に見合えるような、魅力があたしにあるとは思えなかったから。
「…理紗のこと、本気にさせるから。浮気じゃなくて、俺が本気だって」
「翔……」
「今はまだ英士くんに負けてていいよ。過ごしてきた時間が長いんだ。だけど、きっといつか…心から好きだって、理紗の方から言わせる」
不敵な笑みに、強気な言葉に、顔が熱るのを感じて視線を伏せる。
あたしは心のおくから、翔のことが欲しいって、好きだって。
……いつか、そう告げて、甘える夜が来るのかな。
あたしにとって、それは、幸せな未来?
それとも、やっぱりこの恋は、過ちでしかないの……?