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甘いだけの嘘ならいらない
第6章 騙されてあげる、それは君が好きだから
翌朝、激しい雨音と肌寒さに目を醒ますと、ベッドから落ちかかっていた毛布をかけ直した。
昨日の天気予報で、今週はスコールのようにどしゃ降りの雨が続きそうだとニュースキャスターが告げていたけど、想定していたよりも雨足は強いらしく、憂鬱になる。
雨の日の通勤電車は混むから嫌い。
自分の傘がぶつからないか気になるし、人の傘がぶつかると、仕方のないこととは思っても、やっぱり不快なことに違いなかった。
「……りさ…?」
抱きしめていた体温がなくなったことに気づいたのか、寝惚け眼の英士くんが身体をゆっくりと起こす。
窓の外をぼんやり見つめると、雨か、と呟いて、欠伸をひとつ零した。
「まだ、早いよね…?もう、起きるの……?」
「もう少し眠ろうと思ったんだけど、雨の音が気になって…」
「そっか…こっちおいで」
「うん…」
英士くんは手を広げてあたしをぎゅっと抱きしめると、優しくくちづけた。