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甘いだけの嘘ならいらない
第6章 騙されてあげる、それは君が好きだから
「眠れないなら、起きなきゃいけない時間まで、くっついてたいな…」
「ん…」
「理紗、あったかい……」
ふふ、と笑って、英士くんは温もりを確かめるように頬をすりよせた。
その仕種が仔猫みたいで可愛くて、あたしは微笑ましく思って笑みを返す。
抱きしめられたままもう一度毛布にくるまって、英士くんの体温を感じていると、あたしはまたうとうとと睡魔に襲われる。
そうして温もりに浸りながら、英士くんに今夜の予定を切り出した。
「英士くん、あのね…今日、仕事の後、明日香と映画行ってもいい?」
「映画?」
「うん。観に行こうって、誘われてるの」
「……明日香さんって、会社の友達だっけ」
「そう。少し前に、一度だけ逢ったことあるよね?ほら、残業で遅くなって、英士くんが駅に迎えに来てくれたとき、一緒にいた子」
「んー…顔ははっきりと覚えてないけど、明るめの茶髪のロングヘアーの子?」
「そうそう、その子。映画観て、ごはん食べに行きたいんだけど……だめ?」
控えめに聞いてみると、英士くんは少しさみしそうに視線を落とす。