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唇に媚薬
第2章 不器用プリンス
「男と2人で天体観測する趣味はありません」
蘭の発言によって、ただでさえ冷えてるのに
気温がマイナスになるこの時期に行ったら、心臓凍るっつーの。
あー聞くんじゃなかった。
煙草とライターを掴んで、立ち上がる。
「屋上には出れないぜ。
飛び降り防止の為に、施錠されてる」
パソコンに向き直った蓮の忠告。
激務によって狂う奴がいるから、マジな話だ。
「喫煙所だ、ばかやろう」
「付き合おうか」
「てめぇは吸わないだろ」
「じゃあ俺ブラック。
自販機で買ってきて」
「…………!」
「あ、俺も! 」
「俺は微糖で」
「俺、栄養ドリンク」
蓮に続いて、割って入ってきた野郎ども。
クソー、炭酸買って振ってやろうか。
舌打ちしてフロアを出ようとすると
「瀬名」
後ろから再び蓮に呼ばれた。
「……馬に乗らなくても、白タイツなんて履かなくても
お前は痺れる程いい男だ」
「…………!」
「そのスーツで間違いなく惚れる。
瀬名、充分カッコイイよ」