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唇に媚薬
第2章 不器用プリンス
* * *
「……なんなの、あいつ」
普通だったらドン引きのセリフを、蓮はさらりと言い放つ。
周りの野郎達をウットリさせるって、どんだけだよ。
本当に王子なんじゃねぇの。
“ 葵と違う人と、出逢いたいの ”
……超危険。
カリスマ的なオーラを纏うあいつだけは、蘭に会わせるわけにはいかない。
つーか蓮だけじゃなくて、どんな男とも出会ってほしくない。
胸の奥に秘めた願いは、月日を重ねて増す一方だ。
「1番危ねぇのは俺か……」
煙草を潰して喫煙所を出る。
隣りにある休憩スペースへ進み、ポケットから財布を取り出した。
ガラス張りの高層階。
系列のビル群を始めとした眩い輝きが、今夜も降り続く雨によって滲んでいる。