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唇に媚薬
第2章 不器用プリンス

「……瀬名さ……」


RRRRR……

佐伯が俺を呼ぶのと同じタイミングで、携帯が鳴った。
野郎どもからの催促かと思った……その画面には


「…………」


……さぁ、どういう意図だ?
昨夜、俺から逃げるように去った片想いの相手。

暫くは音沙汰ねぇだろうと勝手に踏んでたのもあり、体が固まる。
……つっても、躊躇ったままいても仕方ねぇし


「はい」


佐伯に先にフロアに戻るように指で示して、携帯に出る。


『………』

「……蘭?」


おい、声上擦ってるぞ俺。
その沈黙に動揺しまくって、無意味に窓際まで歩いてみる。


『あ、あお……い……』

「………!」


俺以上に震えた声。


『あ、葵』

「……なんだよ」

『なんで、き、きの……』

「は?」


『~~なんで昨日私にキスしたんですか!』


ブチッ!!
ツーツーツー……

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