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サイドストーリー3
第14章 キスの花束を
「兄貴」

新入社員の研修の合間に、社内図を頼りに
企画部まで来た。
小さく呼んだその声に反応してくれたからよかったものの
会社で「兄貴」は場違いだ。

「会社では、森川係長」
そう呼べって言っただろ。と苦笑いしながら俺を小突いた。

「浅岡さんってどの人?」

俺の言った言葉に兄貴は顔をしかめる。
「なんで?」
「理由は言いたくない」
「・・・・」

「お前がなんで浅岡さんを知ってるか知らないけど。
相手は部長だ。新入社員が話しかけられるような相手じゃない」
「・・・・」
「ここは会社だ、森川君」
「・・・・」

「お前が浅岡さんを見に来たと知ったら紗江子はどう思う?」
「・・・・」
「どこで知ったか知らないけど。お前は知らないふりしてろ」
「でも!」
「それが男ってもんだ」

「お前が浅岡さんを知ってるなんて絶対に紗江子に知られるな」
「・・・・」
「さ。新人研修に戻れよ」

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