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サイドストーリー3
第26章 嘘つきは恋の始まり
「俺も一緒に癒されていい?」
あまりにビックリして、湯船の中で滑って鼻の頭までお湯につかった。
「野口さんっ!」
「ごめん。遅くなった」
「ご飯は?」
「食べ損ねた」
そう言って脱衣所に座りこんで、優しく笑いながら私を眺める。
食べる時間もないほど、だったんだね。

「ごめん。待ってて。すぐ出て支度するね」
そう言って湯船から立ち上がった私を見て
「良い眺め」
と嬉しそう。

「やだっ」
恥ずかしくなって湯船に沈めば、
「ご飯は後で良いよ。一緒に入ろう」
とスーツを脱いで、私の背中に滑り込んだ。

「毎週ごめんな」
後ろから抱きしめられてそう言うから
「ううん」と首を振る。

「経管が忙しいのはよく分かってるから」
「ん」

そう言ってお互いに無言のまま私のお腹で交差した野口さんの手に私の手をからめた。

「これから毎週、金曜日はこんな感じだ。
待ってるのが辛かったら、金曜日はやめて土曜日に会おうか?」
「え?」
「そうすればチコちゃんは金曜日は遊びに行かれる」
「・・・・」
「ごめんな」

今、凄く忙しい事は私には言わない。
頑張ってるんだね。野口さん。

「ううん。待ってる。この時間になっても平気。
それとも私が待ってると思うと思うように仕事が出来ない?」
「まさか。俺もこの時間に帰ってきてチコちゃんがいてくれると嬉しい」

小さくホッとしたように息を吐き出して
後ろからぎゅーっと抱きしめられた。

「チコちゃん、好きだよ」


END*****


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