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第1章 うまくいかない恋ばかり

「西野さんっ！」
職場で声をかけられる。
事務員の三輪さんだ。
「どうした？」
「えと、甘いものは…お好きですか？」
不安そうな瞳で三輪さんは聞いてくる。
「え、好きだけど？」
「あ、それならよかったです。ありがとうございます。」
今度は、瞳を輝かせて、ぺこりと礼をして部屋を出て行く。
「はぁ〜あ、うらやましいなぁ。」
部署の先輩は言う。
「ほんとほんと。うちのマスコットの三輪ちゃんからのチョコとかうらやましすぎる。」
言っている意味がわからない。
「もうすぐ、バレンタインだろ？」
ああ、なるほど。
甘いもの好きな俺としては嬉しい行事だが、何せお返しが大変だし。
それに、俺は恋愛にいい思い出がない。