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short story
第10章 遥斗の長い長い一日 /haruto
男一人というのはなかなか心細いもので。
他にお父さんは居ないものかとチラチラ来る人来る人見てしまう。


少しすると派手なママ友軍団がやって来て、その団体に圧倒される俺。


ピアノが鳴って茉美が片付けを促して、子どもたちが茉美の周りに集まり始める。
その様子さえ見られずに下をむいているとどこからか視線を感じた。


「・・・・・・・・・・・・」


何となく振り向くとママ友軍団の一人と目が合う。
でもその人はすぐ俺から目を反らした。


それからも何かにつけてチラチラと背中に視線を感じ・・・


何なんだよ・・・
いちかと工作しながらイラッとしてしまう。


「いちかちゃん上手にできたねー」


そんな後ろからわざとらしい高ーい声で茉美が褒める。


「・・・ははっ!」


茉美に関しては完全に開き直っていた。
若気の至り若気の至り!



最後はオモチャを出して子どもたちは遊び始める。
いちかは大型積み木で遊んでいた。


帰りたい・・・早く帰りたい。


そんなことを思っているといちかが走って俺のところにやって来る。


「パパっ、パパっ」


「どうした?」


「パパっ!」


何だか慌てるいちかを不思議に思っていると男の子が追いかけて来た。
するとその子はギューッっと後ろからいちかを抱きしめる。


「パパー・・・」


いちかの顔が歪み、小さな涙がポロリと溢れ落ちた。


「えっ・・・ちょっと君?」


うちのいちかに何を!?


すると男の子は興奮したのかニヤニヤ笑って更にいちかを抱く手を強めた。


「パーパ、パーパ!」


縋るような目でいちかが俺に助けを求める。


更に男の子はいちかを押し始め、二人はつまずいて床に転ぶ。
いちかのスカートがめくれブーさんのオムツが丸見えだ!


「パパー・・・ママっ!ママっ!!」


いちかは泣きじゃくり、俺は完全フリーズ。


この坊主・・・
俺の目の前でうちの大事な娘を押し倒すなんて何て野郎だ!


ゴゴゴ・・・と炎が燃え上がる。











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