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白い飛沫(しぶき)
第11章 新たな恋
Rie…君に話しておきたいことがあるんだ。
ジェフがいつになく真顔で話しかける。
「話って?」
少し話しづらそうに
ポツリポツリとしゃべり始める。
「実は…僕、オーストラリアに帰るんだ」
ウソ!そんなの信じられない。
ユウに続いてジェフまで
私の前から去ってしまうの?
言葉が出てこない…
言葉の変わりに涙が
大きな目からポロポロと零れ落ちた。
「いやよ!そんなのいや!
あなたと離れたくない!」
ジェフの分厚い胸元に顔を埋め、
駄々っ子のように首をフリフリした。
「僕もだよ…」
ジェフがやさしく理恵の髪を撫でる。
「いつ?いつ、あなたは帰ってしまうの?」
聞きたくない答えを聞かねばならない。
ほんとはジョークだよと言って欲しい。
「来週の月曜日…
父が経営しているレストランを継ぐんだ。
これはこっちへ来るときに交わした約束…
守らなければならないんだよ」
私もついて行きたい…
なにもかも捨ててジェフと一緒に…
「これがチケット…」
ダッシュボードから航空券を取り出す。
「2枚あるんだ…」
「2枚?」
「僕は…君と離れるのがつらい…
僕は、君を連れて行きたい」
連れて行きたい?確かにそう聞こえた。
「ジェフ、何?もう一度言って」
「Rie、君をオーストラリアに連れて行きたい。
何もかも捨てて、僕と来てくれないか?」
「バカンスに?」
「いいや…これから先、ずっと…
僕のそばにいてほしい…
Rie…僕と結婚しよう!」