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白い飛沫(しぶき)
第15章 最終章

公園のベンチに腰掛け、
今までの空白を埋めるように二人はしゃべり続けた。
僕が官能小説作家を生業としていること。
何人かの女性とお付き合いをしたが縁がなく、
いまだに独身だということ。


理恵ちゃんは、アメリカに住んでいた時に
オーストラリア人と恋に落ち、
結婚はしたものの子宝に恵まれず
その後離婚し、今は誰ともお付き合いをしていないということ。 


「ねえ、あの小説、どこまで実話なの?」

「あれかい?僕と幼馴染の直樹の会話や、
理恵ちゃんを慕う僕の気持ち以外は創作だよ」


「そうよね。わたし、あんなにグラマーじゃないし、オナニーもしないわよ」

そう言って二人で爆笑した。 


「ねえ、じゃあ、
公園で手をつないでデートをしたいってのも本音?」

「もちろんさ」

「じゃあ、ご希望に応えて・・・」

理恵ちゃんは笑顔でそう言うと手を差し出した。

僕は理恵ちゃんの手をやさしく繋ぎ、
夕闇の中、僕たちはキスをした。


ねえ理恵ちゃん、毛、生えている?
30年後の大人になった僕は
そんな間抜けな問いかけはしなかった。

でも、直樹の言ったように
理恵ちゃんはほんとうにいい匂いがした。

その夜、理恵を自宅へ招いた。
再会を祝して、シャンパンで乾杯をした。

夜も更けた頃、理恵ちゃんが唐突に切り出した。


「ねっ、あの続きしよっか?」

30年前、理恵の部屋でキスをした。

理恵の母からの電話がかかってこなければ、
あの後、2人は結ばれていた筈だった。

「うん」

2人はベッドに倒れこんだ。
そしてようやく2人は結ばれた。

夢にまでみた理恵の白い身体を
何度も何度も貫いた。

順也・・・愛しているわ

理恵・・・僕も愛しているよ

理恵の喘ぎ声とベッドの軋む音しか
部屋には響いていなかったが
僕たちは心で会話していた。

30年分の思いをこめて理恵を抱いた。
理恵も空白の時間を埋めるように愛の泉を潤わせた。

理恵・・・理恵・・・もう君を離さない。

理恵はその思いに応えるかのように
僕の背中に爪を立てた。

そして僕は白い雫を理恵の子宮に浴びせかけた。



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