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monochrome film.
第2章 1.
今日も彼は美しい。
「真宏、起きて」
「ん…渉?」
「おはよう、真宏」
「……おはよ」
「真宏寝てたら死んでるかと思うからちょっと怖いよね」
「ちゃんと息してる…。」
優しく声をかけると目を覚ました彼をベッドから出して、寝相が悪い彼がぐちゃぐちゃにした布団を整理する、それが俺の毎朝の日課。
「真宏、朝御飯は?」
「……いらない」
「じゃあ野菜ジュース買ってきたから飲んで」
「いらないって言ってるのに…」
寝起きでぼんやりしている彼にそう告げて着替えや持ち物を用意してあげるのも俺の仕事。
彼の自分への興味のなさは驚かされることがある。
気づいたら一食も食べていない、なんてこともあるくらいだから少しでも彼に食事をさせないといけないのだ。
「渉、今日って…」
「今日はサスペンスドラマの撮影だよ
なんでも新人カメラマンが入ってるから迷惑かけるかもしれませんって」
「ふぅん…おれには関係ない」
少々語彙が足りなかったようだ。
彼は“自分にも他人にも”興味がないのだ。
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